地盤問題が顕在化するのは数年後

造成地では地盤が固まるのは数年後

 埼玉県に住むOさんは、建売住宅を買って1年ほどして家がちょっと変だな、と思ったそうです。それからしばらくして、押入れがきちんと閉まらなくなり、窓の鍵もかかりにくくなりました。やがて、壁のあちこちに亀裂が走り、力を入れなければ扉が開かなくなったようで、その頃には、見ただけで家全体が傾いていることが分かったということです。
 Oさんのお宅はもともと丘陵地の斜面を造成して建てられており、調べてみると盛土部分がふわふわした軟弱地盤となっていました。斜面ということもあって、雨が降ると高台から水と土が流れてきて、ますます軟弱化が進行してしまったようです。
 盛土の締固めが中途半端で、しかも排水計画も悪いため、築後1年で沈下が始まったのだと考えられます。
 このようなOさんの例は、特殊なケースではありません。多くの地盤沈下が建築した数年後に起きています。すでに述べてきたように、住宅に適さない田畑や湿地、海岸低地、丘陵斜面などを造成する場合、本来なら地盤が固まるまで数年間は待たなくてはならないのです。しかし、いつまでも土地を寝かせておいたのでは投資が回収できず、利息がかさむことになってしまう造成業者と、税制や公庫金利の優遇措置に間に合うようにと、造成が促成であることには気をとめずに土地を購入する施主がいて、さらには他業者に出し抜かれないように計画をたたみかける建設業者の三者三様の思惑は、誰もが意図的な悪意をもって事を進めているわけではないにもかかわらず、地盤問題を繰り返し引き起こす構図をよく示しています。
 軟弱地盤をつかまされないためには、地盤問題が顕在化するのは数年後だということを胆に銘じて、早めに調査し対処するようにします。早期発見と早期治療は地盤解決の決め手であり、手間も費用もわずかで済むことを覚えておいてください。