◆地形の高低と水がキーワード
地名は軟弱地盤の手がかりにはなりますが、範囲が広くなるため、特定の場所を判定することは困難です。そこで、より地域を限定した軟弱地盤の見分け方を考えてみましょう。
地盤が軟弱かどうかを決定するのは地形と水であることは、すでに述べてきたことですが、軟弱地盤を見分けるコツも、この地形と水ということになります。
普段、何気なく見ている風景の中に、地形や水がいろいろなシグナルを発して地盤情報を私たちに教えてくれています。水や地形を意識すると、通いなれた道や風景が、とたんに教材となり、地盤を知ることが楽しくなってくると思います。
たとえば、長い坂道を下った先は必然的に低地になり、水が溜まりやすくなっています。そこがまさに軟弱地盤の潜む場所なのです。地形の中でも起伏はとても重要な風景です。低地はきまって地盤が悪いと思ってください。谷地が代表例ですが、ほかにも凹地、氾濫低地、沼沢地などの地形が低地に当たります。では、ほかのいろいろな水に関する風景を見ていきましょう。

1.水路
水は低いほうに流れるのが常。水路はその付近で最も低い場所なのです。周辺から集まってきた水が、それ以上地中に浸み込まずに、逆に溢れて表面を流れるようになったのが水路ですから、地盤が軟弱なのは当然です。
2.橋
橋の下には水路や河川が流れていますので、そこが水の多い場所であることが分かります。橋はそこが低地であることを示す目印です。
3.暗渠
地表を流れていた水を地中に埋設した排水管に流し、その上は埋土をして道路のような体裁に変えてしまうのを「暗渠(あんきょ)」と言いますが、埋設管が車両が通る際の交通振動で揺れて壊れてしまうと、周辺一帯に浸水してしまうので、通行止めなどの制限を行っています。
4.交通標識(車両重量制限など)
道路が軟弱で破損する恐れがあるところでは、車の重量を制限するために交通標識が出ています。運転免許をもっている入なら知っているはず。
5.道路のいたみ
道路が大きく波打っているような場所は軟弱な土地であると考えられますが、道路ですら沈下してしまうような場所では、住宅にも何らかの被害が出ていてもおかしくありません。また、そのような場所では建物は交通振動によって絶えず揺さぶられ劣化が早まる可能性があります。
6.水田
水田は水が干上がってしまうような高台ではあまり耕作されません。水を引き入れやすいよう、低地の平野につくるのです。水田を造成した宅地は要注意。
7.池のある公園
古くから親しまれている公園や市街地の中にとり残されいる池、造成地の中の緑地や調整池などは、意外にも谷地に立地していることが多いものです。(東京でも不忍池、小石川公園、小石川植物園、新宿御苑、石神井公園、井の頭公園などはみな、谷地に該当しています)
8.大面積の建築物
新設される公立学校や郊外に移転する工場などは、もともと入が好んで居住しなかった水田や雑木林(雑種地)であったような傾斜地を造成して建てている場合が多く、なぜなら大きな面積を確保できるのは、そのような場所しか残っておらず、入手コストも安いからです。
9.動植物
生えている植物によって軟弱地盤を見分けることもできます。たとえば竹は、地下水位が高い場所でしか育たないもの。谷地の斜面や山でも麓のほうに群生していて、地表近くに絶えず地下水が供給されている場所が竹の生えやすい場所です。
造成されて間もない土地では雑草が生えていませんが、多年草の背丈が伸びて繁茂していれば、少なくとも造作後1年くらいは経過されていると見てよいかもしれません。
以上のようなことが軟弱地盤を見分ける風景として考えられますが、これ以外にもまだまだヒントがあると思います。