◆水分が左右する軟弱地盤
軟弱地盤とは読んで字のごとく軟弱な地盤のことです、といえば叱られそうですが、「軟弱な」と分離することで何だか理解しやすくなるような気がしませんか。軟弱というと、「軟らかい」とか「緩んだ」といったイメージがすぐに思い描けるでしょう。
では、この軟らかく、緩んだ地盤をもっと論理的に考えてみましょう。一般に物質が軟らかくなるのは水を含んだときに多く、たとえば水を含んだ新聞紙はどろどろになり、逆に魚などは乾燥させて水分を取ると硬くなります。
こうした水の影響は土においても同様で、土の中に水がたくさん含まれれば地面は軟化してしまいます。反対に水が少なくなれば、粒子が緊密に結合していきます。
水は雨や地下水のことですが、このような水が溜まりやすい土が軟弱な地盤になるのです。
では、水が溜まりやすい土とはどんな土なのでしょうか。それは土のはなしでも取り上げましたが、地面は土の粒子(固体)と水(液体)、そして空気(気体)から構成されています。
つまり、地盤の強弱を決定しているのは水と空気であり、とりわけ水の含有率(含水率)が軟弱の程度と比例しています。掘り起こされたばかりの土が軟らかいのは隙間が多いからですし、そこに水がしみ込めばさらに地盤は軟弱化するのです。
◆地下水が溜まりやすい低地、窪地は軟弱地盤
軟弱地盤はいうなれば水分の多い土であり、そうした場所はどのようなところかといえば、河川の上流から運ばれてきた微細な土が下流の川岸に溜まったりしてできた氾濫平野や、雨水と一緒に流れてきた高台の土が再堆積して軟弱層を形成している谷地などでしょう。
このような場所では地面の数メートルから数十メートル下まで水分の多い層があって、地形としては氾濫平野や谷地、窪地を形成しています。もし、地下水が地表に近い浅いところにある(地下水位が高い)場合、少し地面を掘ってみると、水がじわじわとにじみ出てきます。こうした水の集まりやすい場所が軟弱地盤の特徴となっているのです。軟弱な土質の最たるものが、湿地や沼地であった場所に、植物が折り重なるようにしてできた腐植土(有機質土)でしょう。
◆腐植土は湿地や雑木林などに分布
腐植土は植物(湿地性植物)が分解して土になったものですが、建設省監修の「宅地防災マニュアル」では試験の値にかかわらず、腐植土は軟弱だという見解を示し、何らかの地盤沈下対策をするよう指摘しているほどです。腐植土は普通、湿地などに堆積しているもので、こうした場所には住宅などを建てることはなかったのですが、近年の開発ラッシュでいつのまにか宅地として目を着けられてしまいました。
本来、乾いた土地で地盤が良いはずの雑木林の地表近くにも腐植土があります。俗に黒ボクという黒い土がそれで、組織が粗く、通気性と保水性に富んだ肥沃な土地となっています。黒ボクの厚さは数十センチから一メートル程度ですが、水と空気を大量に含んでいて、農地としては最適なのですが、住宅地としては軟らかすぎることから、黒ボクを砂利と置き換えるなどの配慮が必要となります。
一方、水分の多い低地や湿地にはヨシ、スゲ、ミズゴケといった湿地性の植物が生えていますが、それらが毎年、冬になると枯れて倒れ、祈り重なっていきます。やがて、分解が進んで土と同化していきますが、有機物が分解されるということは腐植することを意味します。一般に物が腐ると黒ずんだ色になることが多く、有機質土も同様で、かすかに元の色である緑色を残しています。
軟弱な土というのは暗緑色であったり、黒灰色であることが多いのですが、軟弱地盤では腐植土が分布していることを疑ってみてもよいでしょう。暗緑色や黒灰色の土は軟弱な土であることが多く、逆に硬い地盤は明るく、乾いた白い色をしていることが多いものです(鹿沼土のように例外もあります)。

◆軟弱地盤でない地盤とは
軟弱地盤を理解するためには、軟弱地盤でない良好な地盤も同時に理解しておきたいものです。一般には締まった地層で、地震の揺れが小さい、’安定した地盤だといわれます。締まった地盤というのは水分が少なく、軟化していない地層で、その多くが洪積世以前(1万年以前)にできた地層です。山地、丘陵地、台地などの高台に多く、200万年という長きにわたって堆積しているものもあります。
火山活動が活発な時期でもあり、洪積世末期にはそれまでの地層の上に火山灰が積もり、台地の表面を覆うようになりました。その代表が関東ロームという地層で、住宅地盤としては締まった強い地盤として知られています。ローム層というのは、主に砂、シルト、粘土がほぼ同じ割合で混じっている土壌の一種で、火山灰が堆積してできたものです。関東にあるから関東ロームといいますが、地域によってそれぞれに○○ロームという名がついています。
