土の安定を促す石灰石

鹿沼土は軟弱な火山性粘性土

 わが国は火山が多い上、多雨多湿な気象でもあるため、水分をたくさん含んだ軟弱な火山性粘性土に覆われています。ガーデニングでもお馴染みの鹿沼土などに代表されるように、ほどよい水分と栄養を蓄えた火山灰土は植物の生長には適していても、住宅やビルなどの建築には不向きな土となっています。
 鹿沼土とは火山礫(同じ火山灰でも小豆大のもの)が風化したもので、粒状で白(薄黄色)いのが特徴です。水や空気をよく通し、しかも保水能力にも優れているのでサツキなどの盆栽によく使われます。
 鹿沼土は水分を多く含んだ土であり、その上に家を建てる場合、軟弱地盤という問題を考慮に入れて対処しなければなりません。造成を適切に行わなければ、やがて地盤沈下という恐ろしい現象を招かないともなりかねず、地盤調査はもちろん、地盤改良工事の必要な土であることは覚えておいてください。

土の安定に石灰石が利用

 水を含んだ火山性粘性土などの軟弱な土を改良して、住宅などが建設できるようにするため、石灰やセメント系固化剤が利用されています。
 土に石灰を加えるとイオン交換などの化学反応をはじめ、いろいろな反応が現れます。それによって土の粒子が互いに結合してより大きな粒になったり、結合した粒子が長く固化されたりして、土の強度が増していきます。このように石灰やセメント系固化剤による安定処理は土中の粒子分を化学変化させて安定するしくみであり、粒子の細かい粘土質の土には他の方法よりも有利だとされています。
 石灰は、その歴史が古く、実績では群を抜いているといえます。たとえば、中国では秦の始皇帝が万里の長城建設に用いたり、古代ローマでは数多くの建設に石灰が使われていたことが分かっています。もちろん日本でも利用され、住宅などの土間や三和土などに石灰を入れて固めたりしていました。近年は石灰に変わり同じ石灰を精製して得られるセメントが建築や土木の分野で大量に使われるようになり、特に土と混合しても固まる特殊セメント(セメント系固化材)が開発されてからは、住宅の地盤補強の決め手として最も普及しています。

土の安定性

わが国は多雨多湿な気象と火山が多いことから、性質の不安定(主に軟弱)な土が広く分布しています。土が不安定であるということは、建設において重大な問題となります。たとえば道路を造る場合、一般に切土と盛土が行われますが、盛土が高く施されると、盛土自体の荷重によって基礎地盤が壊れ、地盤沈下が発生して道路が波打ったりしてしまいます。
 道路であれば、まだ被害も少なく補修もそれほど困難ではないようですが、これが住宅であったとしたら人命にかかわることにもなりかねず、土の安定ということを慎重に考えねばならないのです。
 大規模に造成された場所では、不安定な地質に遭遇する可能性が非常に高いのが日本の地質的事情でもありますので、地盤調査を怠らないことが重要です。